東京高等裁判所 昭和32年(う)1194号 判決
被告人 長沢八郎
〔抄 録〕
職権をもつて審按するに、原判決は、被告人の判示殺人行為に対し刑法第一九九条を適用しその所定刑中有期懲役刑を選択しその所定刑期範囲内においてと判示して被告人を懲役二年に処したことが判決自体において明らかである。ところで、刑法第一九九条に定めるところの有期懲役刑の短期は三年であるが故に原判決が被告人を懲役二年に処するに当つては、同法第六八条第三号による法律上の減軽をなすか又は同法第七一条第六八条第三号による酌量減軽をなさなければならないのに、かかる減軽をなすことなく、漫然刑法第一九九条所定の有期懲役刑を選択した上被告人を所定の短期三年以下の懲役二年に処したのは理由不備というべく、結局刑事訴訟法第三七八条第四号に規定する判決に理由を附さない場合に該当し、原判決は破棄を免れない。
(工藤 草間 渡辺好)